免許証の点数|交通違反の累計点数の計算・確認方法とリセット法
免許証の点数は累積方式です。交通違反をすると、違反の種類によって反則金の支払いだけでなく違反点数が加算されます。違反を何度も繰り返したり、危険な違反行為をしたりして合計点数が一定の基準に達した場合、行政処分(免許の停止や取り消し)の対象となります。
罰則を受けないためには、日頃から運転に気をつけるのはもちろん、点数の仕組みをあらかじめ知っておくことが重要です。
免許を取ったばかりで、いまひとつ違反点数のことを理解しきれていないという人のために、今回は交通違反と累計点数の計算・確認方法についてご紹介します。
運転免許証の点数とは
運転免許の点数制度については教習所でも勉強しますが、複雑なのでもう1度チェックしてみましょう。
よくある点数制度の勘違い
運転免許の点数は「累積方式」なので、持ち点から減点されていくわけではありません。
警察が違反を確認した場合、違反の危険度に応じた点数が違反者に加点され、一定期間内に違反を繰り返すと、どんどん点数が増えていきます。
点数はドライバーがどれくらい違反しているかを表す数値であり、点数が低いほど優良ドライバーということです。
したがって、ドライバー同士の会話で「あと◯点しか残ってない」といった表現が使われることがありますが、それは間違いです。「免許の停止(または取り消し)まであと◯点」と言うのが適切でしょう。
そもそも点数制度はなぜ必要なの?
道路の安全を守り、交通事故を未然に防ぐためには、交通違反を繰り返す人の運転を制限する必要があります。点数制度にはそれだけでなく、運転者の無事故・無違反を奨励する意味も含まれています。
アメリカなどの諸外国でも免許制度に似たような点数方式が採用されています。
交通違反の点数と反則金額
違反の種類は「一般」と「特定」の2種類に分けられており、原則として反則金の支払いの有無にかかわらず点数が加算されます。
交通違反の種類と加算される点数
一般違反行為
比較的軽度な違反行為は「一般違反行為」となります。代表的なものは「速度超過」「放置駐車違反」「指定場所一時不停止等」「信号無視」「座席ベルト装着義務違反」などで、1点~6点の加点となるものがほとんどです。時速50キロ以上の速度超過や酒気帯び運転など、危険度の高い違反については12点以上が加点されます。
特定違反行為
危険の可能性が極めて高い行為は「特定違反行為」と言います。代表的なものには「運転殺人等」「運転障害等」「酒酔い運転」「麻薬等運転」「救護義務違反(ひき逃げ)」などがあり、35点~62点の加点となります。
違反の内容によって異なる支払額
交通違反をした場合、違反の内容によって反則金額が変わってきます。
普通自動車を例に挙げると、軽微な「免許証不携帯」と「警音器使用制限違反」の反則金は3,000円です。「携帯電話使用等」は「保持」で6,000円、「交通の危険」が生じると9,000円の反則金が科せられます。
指定された通行区分を走行しない「指定通行区分違反」の反則金は6,000円です。
重いものでは、「駐停車違反(駐車禁止場所等)」が1万円で、「高速道路の速度超過(35㎞以上40㎞未満)」では3万5,000円が科せられます。
違反行為が比較的軽微な場合は、いわゆる青切符(交通反則告知書)と反則金仮納付書が発行され、指定期日までに反則金を納付すると、犯した違反行為について起訴されません。つまり、刑事裁判(または家庭裁判所)の審判を受けずに済むため、前科がつかないということです。
反則金仮納付書の期限が過ぎると、通告書と納付書が送られてきます。通告後も反則金を納付しないでいると、最終的には交通裁判所や検察庁に呼び出されて裁判になります。
反則金の納付では済まない重い違反を犯した場合には、赤切符が切られて刑事罰が科せられます。例えば、無免許運転や酒気帯び運転などの違反です。
検察庁に出頭して取り調べを受けた後、刑事裁判(または家庭裁判所)の審判が行われます。違反した事実に不服がない場合は、検察官が「略式裁判による処理が妥当」と判断すれば、書面での簡易的な裁判を受けることが可能です。略式裁判で判決が下されると罰金額も決定し、前科がつきます。
なお、違反した事実に不服がある場合は、正式な裁判で争うこともできます。
事故に適用される付加点数とは?
違反行為が原因で人身事故を引き起こしたり、建物を損壊したりすると、違反行為の点数(基礎点数)に付加点数が加算されます。
例えば、ドライバーの一方的な不注意による違反行為によって死亡事故が起きた場合、基礎点数に20点が足されて免許取消となります。
累計点数の計算方法
累計点数の計算方法は意外にも複雑です。
軽微な違反の繰り返しでも、積み重なって免許停止になることがあるので注意しましょう。
過去3年間の違反点数が累計される
過去3年間の累計点数が一定の点数に達すると、免許停止・免許取消などの行政処分が行われます。
まず、過去3年間で免許停止処分を受けていない人の場合、3年間で累計が6点~8点になると30日間の免許停止処分を受けます。
ただし、3点以下の違反行為を繰り返して累積点数が6点になった人は、違反者講習を受講できる場合があります。違反者講習を受講すると免許停止処分にならず、対象となった6点は受講後の点数に累積されません。違反者講習を受講しない場合は、免許停止処分となります。
累計が9点~11点の場合は60日間、12点~14点になると90日間の免許停止処分を受けます。そして、累計が15点以上になると免許取消となります。
なお、過去3年間に処分を受けたことのある人は、その回数に応じて、さらに少ない点数で免許停止や免許取消の処分を受けるので注意が必要です。前歴が1回の場合は10点以上、前歴2回は5点以上、3回以上は4点以上で免許取消になります。
また、前歴の回数と累積点数、違反の種類によって再び免許を取得できるまでの期間(欠格期間)が決定します。
場合によっては加算された点数が消滅する
違反点数が累計されないケースもいくつかあります。
処分が満了してから、1年間以上無事故無違反の場合は累計点数が0点になります(図のうち、パターンA)。また、過去2年間違反をしていない人が3点以下の軽微な交通違反をし、その後3カ月の間に違反行為をしなかった場合は、違反点数が消滅します(図のうち、パターンB)。
免許取消・免許停止の行政処分を受けた場合も点数が0に戻りますが、前歴の回数が増えます。
3年経てば点数がノーカウントになる
3年以上前の違反に加算された点数は、3年経つと累計の計算外となります。ノーカウントにはなりますが、記録が消滅するわけではありません。忘れてしまうという人は、日頃常に違反した日付・点数・回数などをどこかにメモしておくとよいでしょう。
現在の累計点数の確認方法
うっかり何度か違反をしてしまい、免許停止処分にならないか不安になったときは「累積点数等証明書」または「運転経歴証明書」で確認することができます。
現在の点数を確認するには
現在の累計点数を確認したい場合は「累積点数等証明書」を、過去3年間だけではなく免許取得時から今までの点数を知りたい場合は「運転経歴証明書」を、「自動車安全運転センター」から発行してもらう必要があります。
申込書の記入から受け取りまで
まずは近くの警察署や交番、駐在所、各都道府県の自動車安全運転センター事務所で、「累積点数等証明書」もしくは「運転経歴証明書」の申込書をもらって申請を行います。
1通あたり630円の手数料を添えて、郵便局またはセンター事務所の受付で申し込みましょう。受け取り方法は後日郵送か、センター事務所でもらいます。委任状があれば代理申請も可能で、事務所等で一括申請できます。
免停期間を短縮する方法
免停処分になった場合に免停期間を短縮する方法として、違反者講習と停止処分者講習があります。
違反者講習を受講する
違反者講習を受講すると、30日間の免許停止が免除されます。講習の受講対象となった違反点数6点分は受講後の違反点数に累積されず、処分の前歴は残りません。
違反者講習を受講できる人は、違反点数が3点以下の軽微な違反行為を繰り返し、累積点数が6点になった人です。しかし、これにはいくつかの例外があります。例えば、過去3年以内に免停処分を受けた人や、違反者講習受講歴がある人などは対象外です。
講習の詳細は各都道府県により異なりますが、当日体験するコースか、事前に体験するコースのどちらかを選択できます。
事前体験コースは2時間30分の交通安全活動を体験した後、講習指定日に3時間の講義を受講します。
一方、当日体験するコースは、3時間の講義に加えて、実車を使った安全運転講習か交通安全活動体験(2時間30分)で構成されています。
どちらのコースも最後に考査があり、感想文を作成します。
停止処分者講習を受講する
免許停止期間を短縮する方法のもう一つに、停止処分者講習の受講があります。
講習の対象は、運転免許証の停止や保留などの処分を受けた人です。ちなみに、違反者講習の対象となったのに受講しなかった人は、停止処分者講習を受けられません。
講習では運転に関する適性診断や指導、講義、運転実技、筆記試験などが行われます。
違反者講習とは異なり、受講すると一定の期間が免除されるのではなく、講習の最後に行われる筆記試験の成績によって短縮日数が決定します。また、考査の成績だけでなく、受講時の態度も短縮日数に影響しますので、注意しましょう。
免許の取り消しを回避する方法
免許の取り消し処分を受ける人に与えられるのが「意見の聴取」という機会です。
「意見の聴取」に出席する
免許の取り消し処分を受ける人や、免許停止処分が90日以上となった人には、「意見の聴取」の通知が送られてきます。
違反者に意見を聞いた上で処分を検討するもので、違反してしまった事情を話したり、自身が有利となる証拠品を提出したりすることが可能です。ただし、必ずしも処分が軽減、または免除されるというわけではありません。
出席するには、通知書に記載された日時に、指定の場所へ出頭します。万が一、出頭できない場合は代理人を立てられます。
処分を軽減してもらうためのポイント
大切なのは、反省の態度をしっかり表すことです。礼儀正しい態度や受け答えを心がけましょう。反省の意を込めた上申書や嘆願書を提出する人もいます。
もしも、違反をしてしまった背景にやむを得ない事情がある場合は、きちんと説明しましょう。例えば、速度超過を犯した際の理由が「家族が急病になり病院へ急いでいた」などの場合です。口頭で主張するだけではなく、日付が合致した病院の領収書を用意するなど、証拠となる資料を提出するのが望ましいです。
この記事のまとめ
仕組みを知っていれば慌てずに済む
長い間運転していれば、どんなに慎重な人でも違反行為になるようなミスを犯す可能性があります。小さな違反が重なって累計点数が増えてしまったら、自分の運転について反省するとともに、現在の点数を一度確認しましょう。
免許証の点数制度を正確に把握した上で、「今後は絶対に違反しない」という前向きな気持ちで安全運転を心がけることが大切です。