仮免試験(技能・学科)に落ちる人はどんな人?一発合格するコツ
仮免許証は、技能試験と学科試験の両方に合格しなければ交付されません。合格するためには、事前の勉強や試験対策などが必要とされます。仮免試験は、一回でクリアする方がいるものの、何度か不合格になってしまう方がいるのも事実です。なかなか受からない方には、どういった特徴があるのでしょうか。今回は、仮免試験についての基礎知識や合格できない人の特徴、合格するためのポイントなどをご紹介します。
仮免の技能試験(修了検定)について
仮免許証を取得するには技能試験(修了検定)と学科試験の二つの仮免試験を受ける必要があります。ここでは技能試験(修了検定)について詳しくご紹介します。
技能試験(修了検定)とは
技能試験は、第一段階から第二段階へ移行するために実施される運転の実技試験です。修了検定と呼ばれることもあります。技能検定と仮免学科試験の両方に合格することにより、仮免許証が所轄の警察署または運転免許センターにて交付されます。
第二段階では路上教習があるため、仮免許証を取得できなければ次の段階へ進めません。合宿免許の場合、技能試験に落ちると予定通り卒業できず、延泊になる可能性もあります。仮免の技能試験は、教習における中盤の山場といえるでしょう。
修了検定を受けるためには、第一段階の学科教習と技能教習を規定の回数以上受け終えたうえで、効果測定に合格し、みきわめを受ける必要があります。効果測定とは、学科の模擬試験にあたるものです。第一段階の学科教習が終わったら効果測定にチャレンジできます。
効果測定合格後に行われるみきわめとは、技能教習で運転技術が身につけられたかどうかを判断する教習のことです。みきわめ不良と認定されたら、補修が必要になります。みきわめをパスできたら、修了検定を受けることができます。
技能試験(修了検定)は減点方式
技能試験の採点は減点方式です。試験開始時は100点満点の持ち点があり、最終的に70点以上残っていれば合格とされます。持ち点が70点を下回ったら不合格となり、再度試験を受ける必要があります。採点を担当するのは、助手席に座っている検定員(試験官)です。
採点基準は警察庁が公開しています。減点幅はミスした内容によって異なり、5点減点、10点減点、15点減点、20点減点の項目に別れています。ただし、発進不能や急停止区間超過、通過不能、信号無視、大幅な脱輪などの危険行為は、ミスがあったと認められた時点で不合格となるため注意が必要です。
技能試験(修了検定)のポイント
試験は教習所内で実施されます。時間は15分程度です。技能試験のコースは複数のパターンが用意されています。本番では、指定されたコースのみを走行することになります。S字カーブやクランクなど、走行が難しい道もスムーズに通り抜けなければいけません。坂道発進のように、順序を守った操作が必要とされる場面もあります。
技能試験に合格するためには、ふだんの教習でしっかりと運転の基本を学んでおくことが大切です。緊張しすぎず、落ち着いて運転するように心がけましょう。
仮免の技能試験(修了検定)の減点例
適切な運転ができていないと減点されてしまいます。どのような運転をすると減点対象になってしまうのかいくつか例を見てみましょう。
安全措置不適
安全に運転するために必要な操作や確認などを怠ると、安全措置不適とみなされます。例えば、半ドアのまま走行を始めようとすると、5点の減点となります。発進時にバックミラーを確認しなかった場合や、ハンドブレーキを戻さないまま運転しようとした場合もマイナス5点です。シートベルトをつけなかったときは、10点減点されます。日頃から意識して安全措置を行うことが大切です。
運転姿勢不良
安全運転をするためには、適切な姿勢を保つ必要があるとされます。そのため、正しい運転姿勢をとっていないと判定されると減点対象となります。
主な減点項目は、シートの調節不足や直進中の片手ハンドル、上体の極端な傾きなどです。これらのミスは5点減点とされます。教習中は、ドライビングポジションにも気を配って運転技術を身につけましょう。
合図不履行等
ほかの車や歩行者などとの事故を防ぐために欠かせないのが合図の履行です。発進や進路変更などの際は、決められた合図をすることが法律で定められています。
基本的に、合図不履行の場合は5点減点となります。路端からの発進時や進路変更時、右左折時など、しっかりと合図を出しましょう。
【出典】警察庁「運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について」
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/menkyo/menkyo20190919_r089.pdf
仮免の技能試験(修了検定)に落ちるとどうなる?
補習教習を受けてから再チャレンジ
仮免技能試験に落ちても、すぐに退校となるわけではありません。再度試験を受けて、仮免許の取得を目指せます。
ただし、再チャレンジする場合は、1時限以上の補習教習の受講が義務とされています。受講の際は追加料金が発生するのが基本です。また、再試験するときには、もう1回受験料がかかります。
教習所によっては、追加料金なしで再検定可能なことがあります。一定の年齢までは追加料金が発生しないプランや、指定の回数までは無料で再受験できるプランなどを用意している自動車学校もあります。試験に落ちたときのことが心配な方は、追加料金のかからないプランを設けているところを探して合宿免許の予約をしましょう。
補習教習の内容とは
補習教習は、修了検定で失敗した内容を復習することが中心になります。さらに、どのような内容を復習した方がよいか検定員からの申し送りがあるのが一般的で、補習を担当した教習指導員が教習生に合わせて教習をしてくれます。
また、教習所の込み具合にもよりますが2時限以上の補習教習を受けてから検定に進むことも可能です。しっかりと苦手を克服して、技能検定に再チャレンジしてみましょう。
仮免の学科試験について
仮免の技能試験(修了検定)に続いて学科試験についてご紹介します。
学科試験とは
修了検定に合格すると、仮免学科試験を受けることができます。学科試験に合格することで、晴れて仮免許が取得できます。
勉強の際は、教習所の教材である問題集を解くほか、スマートフォンの試験問題集アプリを活用する方法もあります。隙間時間を有効活用して、問題を解いていきましょう。
仮免学科試験の内容は?
学科試験では、第一段階の学科教習で習ったことが出題されます。学科試験の設問は50問で、45問以上正解すれば合格となります。模擬問題や過去問題などを解いて勉強しておき、一発合格を目指しましょう。
学科試験に落ちるとどうなる?
仮免許学科試験に落ちた場合も、技能試験と同様に再受験することが可能です。もちろん、一度支払った受験料は戻ってきません。再受験の場合は、もう一度受験料を納めることになります。
また、学科試験は技能試験合格から3カ月以内に受験し、合格しなければいけません。期日を過ぎると、修了検定を受け直す必要があります。加えて、教習そのものにも期限が設けられているため注意が必要です。教習開始から9カ月以内に第二段階までの教習すべてを完了させなければいけません。仮免許試験の合格が遅くなると、教習期間の終了日にも影響が生じてしまうため気をつけましょう。
仮免試験の合格率と合格点は?
仮免試験の合格率は?
2020年の普通車仮免許の合格率は79.8%で、AT限定だけの場合は79.6%でした。2019年の合格率もほぼ同じです。およそ80%の合格率となり、多くの受験者が仮免許証を獲得していることがわかります。
【出典】警察庁「運転免許統計」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo/r02/r02_main.pdf
仮免試験の合格点は?
仮免試験は、技能で70点以上、学科で50問中45問(90点)以上獲得すれば合格です。技能試験は減点方式ですが、学科試験は正答すると得点が加算されます。どちらも試験の内容を事前に調べ、対策しておくことがポイントです。
仮免試験に受からない人の特徴
「仮免試験に落ちてしまった…」「何度も仮免試験に落ちてしまう!」受からなかった場合、なにが原因なのかしっかり見直してみましょう。
技能試験に対応した運転ができていない
技能試験の採点は、助手席に座っている検定員(試験官)が行います。自分では適切な運転をしたつもりでも、検定員(試験官)の判断によっては減点対象になることがあります。見られていることを意識した運転ができていないと、試験に落ちてしまうかもしれません。技能試験の際は、誰が見ても正しいと判定されるような運転を心がけることが大切です。
例えば、検定時にカーブの前で減速できていなかったとみなされると減点となります。自分自身ではしっかりと速度を落としたつもりでも、検定員から見ると不十分なケースがあります。わかりやすいように大幅な減速を行うのがポイントです。カーブを抜けた後の加速も同様で、緩急をつけた運転を心がけましょう。
検定員(試験官)へのアピールが弱い
検定時の検定員(試験官)へのアピールは、大げさなくらいに行うことがおすすめです。アピールが弱いと、正しい運転をしていたつもりでも試験官に伝わっていないことがあります。
特に意識しておきたいのは安全確認の動作です。乗り込む際は車体の下までしっかりと覗き込む、右左折の際は目線だけでなく頭も左右に動かすなど、はっきりと安全確認ができていることをアピールしましょう。
不合格の理由を振り返っていない
落ちてしまった原因を把握せず、何も対策しないままでは、何度受験しても不合格となってしまいます。技能検定を再受験する場合は、減点された箇所を克服してから試験に臨むことが重要です。
技能検定に不合格になったら、まずは落ちた理由を見極めましょう。その後、補習教習の内容を決めます。どうしたら良いかわからないときは、教習所の指導員へ相談することがおすすめです。アドバイスをもらいながら、次の試験へ向けて対策していきましょう。
仮免試験で合格するコツとポイントは?
試験に向けてしっかりと対策をとる事が合格へと繋がります。ここでは仮免試験合格に近づくポイントをいくつかご紹介します。
教習所のコースを確かめておく
技能試験で走るコースは、技能検定前に発表されます。発表後は検定コースをシミュレーションしておくことがおすすめです。コースの内容を覚え、ポイントごとの適切な操作を考えておきましょう。
ただし、検定コースは検定員が全て指示してくれます。万が一コースを間違えたとしても、コース間違い自体は減点対象になりません。しかし、正規コースに戻る間も採点されます。違う道へ進んでしまった場合は、隣に座っている検定員が戻る方向を指示します。気持ちを落ち着けて、焦らずに所定の場所へ車を動かしましょう。
乗車から降車にいたるまで気を配る
乗車時は車体の周囲をよく見て、運転を妨げるものがないか確かめます。前後左右のほか、車の下も忘れずに注意を払いましょう。車のまわりに障害物がないとわかったら、後続車が来ていないのを確かめてから車に乗り込みます。ドアを開ける前にも、もう一度周囲の安全を確認することが大切です。後続車が来ないうちに、すみやかに乗車しましょう。
乗車後、発進するまでにも所定の手順を踏んで安全確認します。シートやミラーの調整、シートベルトの装着、ギアの確認など、一つひとつ確実に済ませましょう。
試験が終わり、車から降りる際にも気を抜かず、安全確認を行います。サイドブレーキをかけてエンジンを切ったら、シートベルトを外して、シートの位置を戻しておきましょう。ドアを開ける前に車の外を確かめ、歩行者や車などが来ないことがわかってから降ります。降車するまで検定員に見られて採点されていることを忘れないようにしましょう。
減点項目を覚えておく
技能検定中のミスを防ぐためには、減点項目について把握しておくことがおすすめです。どういったミスをすれば減点されるのかがわかれば、運転時に注意を払うことができます。細かい点数までは覚えておく必要はないものの、一発で不合格になるものについては一通り押さえておくと良いでしょう。
また、ご自分が苦手とする項目の減点内容については、詳しく覚えておくと良いかもしれません。例えば、S字カーブやクランクなどでのミスによる切り返しは、1回目だけは減点対象外となります。焦って何度も切り返しを行うと、2回目以降は減点されてしまいます。4回切り返しをした時点で不合格です。1回までは失敗しても良いと思えると、落ち着いて運転できるかもしれません。
大げさな安全確認を心がける
上述の通り、安全確認の際は検定員にアピールできるように大げさな動作を心がけます。試験のときだけ身振りを大きくしようとしても難しいため、日頃の技能教習中から意識して取り組んでいきましょう。
安全確認が必要とされるタイミングは、発進やバック、進路変更、右左折、踏切通過、乗降時などです。状況によって異なるものの、基本は左右や後方を目視します。適切なタイミングで周囲を見て、合図不履行を防ぎましょう。
挨拶と返事は好印象に
修了検定は、検定員によって採点が行われます。明確な減点基準が設けられているため、点数に私情が挟まる余地はないといえます。ただし、検定員もひとりの人間です。挨拶を無視したり、不適切な言葉遣いで話しかけたりといった行為には、不快感を覚えるはず。そうなると、試験中の雰囲気が悪くなってしまうでしょう。
落ち着いた空気のなかでリラックスしながら検定を受けるためにも、検定員に良い印象を与えておくことがおすすめです。はきはきとした挨拶や返事をして、好印象となる振る舞いを心がけましょう。
この記事のまとめ
仮免試験の合格へ向けて対策しよう!
仮免技能検定を初めて受験するときは、一度で合格できることを目指して念入りに対策していきましょう。情報収集を行って試験内容を調べ、苦手な箇所を克服するための練習をしておくことが大切です。不合格になった場合も再チャレンジできるため、あきらめずに次回の試験に備えましょう。不合格になる理由は人によって異なります。落ちた原因を見極めたうえで、教官や友達などのアドバイスをもらいながら試験対策を進めていきましょう。