免許を紛失したらどうする?警察への届け出から再交付の手続きまで
運転免許証は、身分証明書にもなる便利なものです。そのため、運転免許証を紛失すると、車の運転ができなくなるだけでなく、公的機関などでの手続きに支障が出ることもあります。また、運転免許証を拾得した人が悪用するおそれもあります。
今回は、誤って運転免許証をなくしてしまったという人のために、再交付の流れについて詳しくご説明します。
免許を紛失したら、まずやるべきことは?
「免許証がない!」ということがわかったら、まず何をすればいいのでしょうか。
免許証を紛失したときの対応についてご紹介します。
免許の紛失に気付いたら
運転免許証を紛失したとわかった時点で、直近で立ち寄った店など心当たりのある場所すべてに連絡しましょう。自分の携帯電話番号など連絡先を伝えて、見つかったら連絡してもらうように依頼しておきます。
それと同時に、交番や警察署で「遺失届」の手続きを行います。公的機関で自分の手元に運転免許証がないことを証明してもらうためです。
届け出る地域によっては、インターネットで受け付けているところもあります。近くに交番がないときなどは、調べてみるとよいでしょう。
また、遺失届を速やかに行うと、なくした運転免許証が万が一悪用された場合に、その後の手続きがスムーズになります。
遺失届を出したときの受理番号は、メモをとるなどして控えておいてください。
悪用されるのを防ぐために
運転免許証をなくすと、場合によっては悪用される可能性があります。
例えば、運転免許証の提示で「私書箱」を開設できます。私設私書箱は民間業者が運営しているため、厳しい規約が設定されている郵便局のものと異なり、比較的簡単に開設できます。この私設私書箱は振り込め詐欺などに利用されている場合が多く、問題にもなっています。
また、運転免許証で銀行など金融機関の口座を作ることも可能です。この口座も、詐欺などの犯罪に利用される可能性があります。
自分の名義で勝手に作られた口座が詐欺に使われ、警察から摘発された場合、警察はすべての金融機関に「この人の名義で新たに口座を開設しないでください」という通達を出します。そうすると、運転免許証を犯罪に悪用されるだけでなく、新たな口座開設ができないという事態に陥ります。
さらに、運転免許証を身分証明書として提示すれば、携帯電話の契約を結ぶこともできます。
運転免許証には顔写真が付いているため、一般的には本人以外使用できません。しかし、携帯電話を扱う店舗のスタッフの対応が甘い場合は、別人と気付かずに契約されてしまうことがあります。
不正に契約された携帯電話は犯罪に悪用される可能性が高く、電話代や通信代を請求される場合もあります。
そのほかに多く見られるのが、本人になりすまして借金をするケースです。見ず知らずの人が勝手に借りたお金を返済しなければならないなんて、想像するのも嫌ですよね。
このような被害を防ぐために、運転免許証を紛失してしまったら「本人申告制度」を利用しましょう。
クレジットの審査を行う「信用情報機関」に免許証を紛失したことを連絡し、銀行やクレジット会社に情報を伝え、第三者が勝手に口座やクレジットカードを作れないようにします。
すぐに再交付手続きが必要
運転免許証を紛失し、届け出などが済んだら、すぐに再交付手続きを行いましょう。
再交付手続きとは
再交付手続きとは、紛失した運転免許証を再交付するために行う申請手続きのことです。運転免許証の遺失届を提出した後に安心してしまう人がいますが、遺失届を出しただけでは、そのまますぐに車を運転することはできません。免許証不携帯で道路交通法違反になり、3,000円の反則金を支払うことになります。
なお、運転免許証の再交付を行うのは紛失したときだけではありません。盗難にあったり、汚損したり、破損したりしたときにも再交付が可能です。
再交付手続きは本人が必ず行う必要があります。たとえ家族でも、代理人として手続きすることができません。万が一、本人以外の人が再交付手続きを行った場合は、処罰の対象となるので注意しましょう。
また、再交付手続きと同時に本籍・住所・氏名の変更を申請することもできます。再交付手続き時の持ち物以外に必要なものがあるため、注意が必要です。
詳しくは後ほどご紹介する「再交付手続きの方法」で取り上げています。
再交付手続きの期限は特にありません。ただし、運転免許証の本来の更新手続き日が近い場合を除きます。運転免許証の有効期間内であれば、再発行可能です。
仮に再交付手続きをしなくても、罰則があるわけではありません。とはいえ、運転免許証をなくしたまま運転するわけにはいきませんので、紛失後はなるべく早く再交付手続きをしておきましょう。
都道府県によっては、再交付手続きを行う際に遺失届の受理番号が必要となります。諸事情で先に再交付手続きを行う場合は、手続き先の機関に問題ないかどうかを確認の上、申請しましょう。
更新手続きが近いときに紛失したら?
前述したとおり、運転免許証の再交付手続きには基本的に期限はありませんが、更新期間が近い場合は例外です。
運転免許証の更新期間は、有効期間満了年の誕生日の1カ月前から1カ月後までとなっています。更新の時期が近くなると、住んでいる都道府県の公安委員会から「運転免許証更新連絡書」のハガキが事前に届きます。
運転免許証がないと、更新手続きは行えません。そのため、更新期間が近い時期に運転免許証を紛失した場合は、先に再交付手続きを済ませる必要があります。
運転免許証の更新期間内に紛失した場合は、再交付手続きを伴う更新手続きが運転免許センターや運転免許試験場で可能です。
再交付手続きと更新手続きを同時に行う場合、手数料は更新手続きにかかる分のみ支払います。
「再交付を伴う運転免許証の更新手続き」を行う場合の手数料は、更新手続きにかかる手数料のみとなります。そのため、通常再交付手続きにかかる手数料は不要です。
再交付手続きの方法
運転免許証を再発行するためには、具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。詳しい手順をご説明します。
再交付できる場所
運転免許証の再交付手続きは、運転免許試験場・運転免許センター・警察署のいずれかで行います。ただし、都道府県によっては警察署で申請できない場合があるため、事前に確認しましょう。
なお、運転免許試験場か運転免許センターで再交付手続きを行うと、原則即日で運転免許証を受け取れます。一方、警察署で申請した場合は、後日受け取りに行くか郵送で届きます。中には即日交付が可能な警察署もあるので、この点についても事前に確認するとよいでしょう。
警察署で再交付手続きを行ってから受け取るまでの期間、運転免許証はありません。仮免許証も発行されないため、この期間に運転すると違反になります。そのため、運転免許証が早急に必要な場合は、運転免許試験場か運転免許センターで再交付手続きを行うことをおすすめします。
再交付できる日時
受付時間は、運転免許試験場・運転免許センター・警察署のそれぞれで異なりますが、一般的には平日8:30~17:00(12:00~13:00を除く)前後のところが多く見られます。
運転免許センターによっては休日申請を受け付けている場合があるため、平日に行けない人は最寄りのセンターへ事前に問い合わせてみましょう。
必要な持ち物
再交付手続きに必要な持ち物は以下の通りです。
・運転免許証再交付申請書
・運転免許証紛失・盗難てん末書
・申請用写真1枚(縦3センチメートル×横2.4センチメートル、無帽、正面、上三分身、無背景、申請の6カ月以内に撮影したもの)
・身分証明ができるもの(健康保険証・年金手帳・パスポート・個人番号カードなど)
※外国籍の人は、在留資格を確認できる書類(在留カード・特別永住者証明書・個人番号が記載されていない住民票の写し・パスポートなど)を提示する必要があります。
ちなみに、破損や汚損の場合は、その運転免許証自体が必要です。
<再交付手続きと同時に本籍・氏名の変更をする場合>
・本籍地(国籍)が記載された住民票1通(個人番号が記載されたものや、コピーは不可)
※外国籍の人は、パスポートや外務省が発行している身分証明書などの提示が必要です。
<住所を変更する場合>
・住民票(個人番号が記載されたものや、コピーは不可)または新住所宛ての郵便物(原本)や公共機関の領収書など、新しい住所が確認できるもの
また、ICチップ搭載の運転免許証を再交付する場合は、暗証番号の設定が必要です。前もって4桁の数字を決めておくとスムーズに手続きできます。
手続きの流れ
手続きの際には、上記の必要書類などと一緒に再交付の手数料3,500円を持参し、窓口に提出します。手続きには約半日かかるので、午前中か午後の早い時間に行くのがおすすめです。
この記事のまとめ
迅速な対応が大切
免許証の紛失は、車を運転できなくなるだけでなく、免許証を犯罪に悪用されたり、身に覚えのない借金を背負わされたりなど、トラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。免許証の紛失が判明したら、速やかに警察に届け出を行い、できるだけ早く再交付の手続きをするようにしましょう。