一発試験とは 短期間で免許取得できる?教習所との違いや受験の条件、合格率について
自動車免許を取る方法のひとつに、一発試験と呼ばれるものがあります。教習所へ行かず、短期間で費用をかけずに免許を取れる可能性がある点が魅力です。ただし、一発試験に合格するには、相応の知識や技術を独学で身に着けなければいけません。一発試験に臨む前に、条件や費用などを調べておきましょう。今回は、一発試験の基本的な知識や流れ、受験者の特徴、必要なものなどをご紹介します。
一発試験の基礎知識や教習所利用時との違い
自動車免許を取得したい場合、自動車教習所に通うイメージだと思いますが、一発試験という方法もあります。教習所を利用するのとどう違うのでしょうか?
一発試験とは
一発試験とは、直接運転試験場もしくは運転免許センターへ行き、免許取得を目指して受験することです。飛び込みや飛び入りと呼ばれることもあります。
基本的には学科試験と技能試験を受験しますが、条件によって、免除制度を活用できます。例えば、自動二輪免許を取得していれば学科試験が免除されます。また、免許の更新期限切れによる失効が受験理由の場合、6カ月以内であれば試験そのものが免除です。ただし、講習や適性検査は受ける必要があります。
指定自動車教習所を利用した免許取得との違いとは
一発試験に合格できる知識と技能さえあれば、教習所に通わなくても免許を獲得できます。通学のために費用や時間をかける必要がありません。ただし、自力で運転について学ぶ工夫が求められます。
指定自動車教習所に入所した場合は、所定の学科教習や技能教習を修了してから運転免許センターへ行き、本免許試験を受けます。教習所を卒業することで、本免許試験での技能試験が免除されることがメリットです。また、教習所にて運転の基本知識や技能を学べるため、自分だけで練習方法を考える手間がありません。
一発試験利用者の条件や特徴
一発試験を受けるための条件
一発試験を受けるために必要な条件や回数制限はありません。ただし、免許取得に必要な視力や聴力などの基準を満たすことは求められます。
また、免許取り消し処分を受け、欠格期間中の場合は試験を受けられません。免許停止や保留中の場合も受験が認められないため、ご自分の条件を確認してみましょう。
一発試験を利用する人の特徴
練習できる環境が整っている
一発試験の技能試験に合格するには、運転技術を学ぶ場所が必要です。試験の合格基準を満たせるような運転ができなければ、免許取得も遠のきます。
無免許の場合、道路を走行することはできません。仮免許取得後は、所定の条件を満たすことで公道を走れるようになります。免許を持っていなくても運転できる私有地があると、一発試験のために練習しやすくなります。
ただし、私有地であってもほかの車や人の出入りがあると、道路とみなされることがあります。自由に通行できそうな場所や、公道に面している場所なども、免許がなくても運転可能な私有地と認められない可能性があります。条件を満たす練習場所を確保できない場合は、一発試験の受験が難しくなるでしょう。
また、運転の練習時に指導してくれる人がいるほうが、受験するハードルが下がるといえます。ひとりだけで練習するよりも、熟練ドライバーにアドバイスをもらいながら運転するほうが上達しやすいためです。特に、仮免許取得後に路上を走る際は、3年以上の経験を持つドライバーが助手席に座っていなければいけません。一発試験を受けるなら、練習に付き合ってくれる運転経験者を見つけておく必要があります。
時間や精神的な余裕がある
一発試験に合格するためには、しっかりと事前の対策をしておくことが重要です。試験勉強や運転の練習に割く時間がなければ、合格基準に達するのは難しいでしょう。
また、一発試験は難易度が高いといわれており、不合格になることは珍しくありません。試験に落ちた場合も、再度チャレンジできる精神力が大切です。何度も試験を受けるのを避けたい方は、教習所に通って技能試験免除を狙ったほうが良いかもしれません。
免許取得経験がある
教習所へ通って免許を取得した経験があり、運転に慣れている方は試験に挑みやすいとされています。すでに基本的なことが身についており、合格のハードルが低くなるためです。何らかの理由で免許を失効した人が再取得のために一発試験を受ける場合、このケースに該当します。
一発試験の流れや必要なもの、費用
一発試験は教習所へ通うよりも比較的安く免許取得できるとはいえ、必要な費用が諸々あります。一発試験の流れをしっかり確認しておきましょう。
適性検査
一発試験にも、視力や聴力、身体などの検査があります。条件は教習所利用時と変わりません。
普通車免許の場合、両目での視力が0.7以上、片方ずつの視力は0.3以上必要です。片目の視力が0.3以下もしくは見えない場合、もう片方の目が左右150度以上の視野を持つことが免許取得の条件とされます。二種免許や大型自動車免許など、免許の種類によって視力の基準は変化します。必要に応じて眼鏡やコンタクトを用意しておきましょう。加えて、色彩識別能力検査にて、赤・青・黄を識別できるかどうかもチェックされます。
また、聴力検査では10mの距離で90デシベルの音を聞き取れるかが基準となります。普通車免許などは補聴器を使用できますが、第一種中型免許などでは使えません。
身体については、自動車の運転に支障がないことが求められます。普通免許などの場合、障がいのある方は補助手段を使うことができます。
ほかにも、性格や行動の傾向などを把握するための運転適性検査が行われます。
仮免許学科試験、技能試験
仮免許を持っていない場合は、学科試験と技能試験を受けて取得します。技能試験は予約制で、学科試験合格当日に受験できないこともあるため気をつけましょう。受験費用は都道府県によって異なります。東京都の場合、受験料2,900円と試験車使用料1,450円の合計4,350円が必要です。
初めて免許を取得する場合は、本籍の記載された住民票の写しや本人確認書類、申請用写真などを用意しましょう。免許の失効により一発試験を受けるときや、すでにほかの種類の免許を持っている場合は、運転免許証を持参します。費用や必要なものについては、お住まいの自治体の運転免許センターのホームページで調べておくことがおすすめです。
仮免許学科試験は、指定教習所で受けるものと同じく9割以上正解で合格となります。設問は合計50問のため、45問以上正解しなければいけません。学科試験を突破するためには、事前の勉強が欠かせないといえます。運転に関する法律やマナーなどを、しっかりと覚えておきましょう。ひっかけ問題も頻出するため、模擬問題を解いて慣れておくのが大切です。
仮免許の技能試験は、減点方式で採点されます。持ち点は100点です。試験終了までに70点以上が残っていれば合格となります。
合格したら6カ月間有効となる仮免許証が交付されます。交付料金が発生するため、お金を用意しておきましょう。ちなみに、東京都の仮免許証の交付料金は1,150円です。
仮免許試験に合格できない場合は、後日再受験となります。受験料や試験車使用料などの費用も再度支払うことになる点を押さえておきましょう。
仮免許学科試験の有効期限
第一段階の修了検定後、3ヶ月以内に仮免学科試験に合格する必要があります。期限内に試験に受からなければ、修了検定をやり直すことになります。修了検定に合格したら早めに仮免許学科試験を受けましょう。
5日以上の路上練習
仮免許取得後に5日以上の路上練習が必要です。公道での練習時には、免許取得から3年以上たった人を助手席に乗せなければならない点に注意しましょう。
また、車には様式にのっとった標識を取り付けることも大切です。車の前面と背面にひとつずつ所定の標識を掲げます。俗にいう「仮免練習中」の標識です。標識の大きさや文字の色など、決められた基準に従って作りましょう。
路上練習で必須とされる課題は決まっているため、事前に各都道府県の運転免許センターのホームページなどをチェックしておきましょう。最後に、練習結果を記載した「路上練習申告書」を作成します。練習日時や練習細目、同乗指導者の情報などを漏れなく書き込むことが重要です。本免許試験の際に提出するため、不備のないよう記入しましょう。
本免許学科試験、技能試験
本免許試験の際は、仮免許証と路上練習申告書、申請用写真などを持参します。東京都の場合、受験料2,550円と試験車使用料800円の合計3,350円が必要です。仮免試験同様、学科試験と技能試験が別の日になることもあります。スケジュールを考慮して試験日を調整しましょう。
学科試験でも9割以上の正解率が求められます。設問は95問で90点以上で試験をパスできます。仮免許試験のときと同じく、運転に関する法律や心得などが出題範囲です。また、文章問題だけでなく、危険予測に関するイラストの問題も5つ出題されます。
技能試験では、運転免許試験場内のコースと路上を走行します。100点満点からの減点方式で、仮免のときと同じく70点以上残せたら合格です。
不合格の場合は再度受験できますが、その都度費用もかかります。受験料や試験車使用料など、何度か支払う可能性を考慮しておきましょう。
取得時講習
学科試験と技能試験の両方に合格したら、晴れて免許を取得できます。ただ、試験後にすぐ免許を交付されるわけではなく、取得時講習を受ける必要があります。普通車免許の場合は7時限の講習が必須です。免許の種類が変わると、必要とされる時限数も異なる場合があります。
取得時講習には受講料が発生します。東京都の場合は受講料15,400円を支払います。講習の内容は、危険予測や応急救護、高速道路の運転に関することなどです。条件によっては講習のすべてが免除、もしくは一部免除になることがあります。
講習が終わったら、運転免許証交付の手続きへ移れます。運転免許交付手数料は、東京都の場合2,050円です。住民票のある自治体の運転免許センターで手続きし、免許証を取得しましょう。
一発試験のメリット・デメリット
一発試験を受けたい場合はメリット・デメリットをしっかりと把握して自分に向いているかどうかチェックしましょう!
一発試験のメリット
短期間で免許取得できる
指定自動車教習所に通う場合、学科教習を26時限、技能教習を34時限(普通車AT限定の場合は31時限)受ける必要があります。一発試験はスムーズに合格できれば、教習所を利用するよりも短期間で免許を取得することも可能です。
人によっては、合宿免許のように集中して教習を受けられるプランを契約したほうが良いケースもあります。特に免許取得が初めての場合は、いきなり試験を受けるより教習所に通うことがおすすめです。
免許取得にかかるコストを抑えられる
一発試験に合格できれば、受験料や免許の交付料金などを支払うだけで運転免許を取ることができます。教習所へ通うよりも安価で免許取得できる可能性があるのが魅力です。
ただし、何度も不合格になると、受験費用がかさんでいきます。誰でもすぐに合格できるわけではないことを考慮しておきましょう。
一発試験のデメリット
合格のハードルが高い
一発試験では事前に細かい教習を受けることができません。特に技能試験対策をひとりで行うのは難易度が高いとされています。免許取得経験者以外が一発試験に挑戦すると、より合格のハードルも高くなるでしょう。運転に慣れていない人は、教習所に通うほうが上達が早いかもしれません。
受験日は平日のみに限られる
都道府県によって日時は異なるものの、基本的には平日しか受験できません。仮免許試験や本免許試験などは別日程となるため、何度(大多数の人は何十回)か最寄りの運転免許センターへ通わなければならない点に留意しておきましょう。
この記事のまとめ
基本的には教習所に入校して試験を受けるのがおすすめ
一発試験は難易度が高く、合格に至るまでの手続きも煩雑です。特に初めて免許を取る方は、教習所に入所したほうが効率的な免許取得を実現できるかもしれません。教習所へ通学する期間をできるだけ短くしたいなら、合宿免許の利用も検討してみることがおすすめです。ご自分に合った方法で試験対策し、本免試験の合格を目指しましょう。