車酔いに悩んでいる方、必見!原因と対策を知って楽しいドライブを
平衡感覚の乱れによって体調不良を引き起こす「車酔い」。子供に多く見られますが、普段は乗り物に強い大人でも、体調が悪かったりストレスが溜まっていたりすると、車酔いの症状が出ることがあります。
揺れや急発進、急停車などの他にも、車酔いの原因はいくつかあります。車酔いしやすいという人は、本記事で車に酔ってしまうメカニズムと対策を学び、楽しいカーライフに備えましょう。
車酔いと「お酒の酔い」との違い
この前、友達が運転する車でドライブに出かけたんですけど、途中で体調が悪くなっちゃって…。乗っているだけなのに、どうして具合が悪くなるんでしょうか?
車に乗っていて体調が悪くなったのですか?それは「車酔い」かもしれませんね。
車酔いになるのって子供だけじゃないんですか?
確かに、車酔いは子供に多く見られますが、大人でも症状が出ることがあるんです。
そうなんですね。そもそも、車酔いってお酒の酔いとは違うものなんでしょうか?
お酒による酔いと車酔いは、それぞれ起こるメカニズムが全く異なるものです。お酒による酔いには二種類あり、一つはアルコールに含まれるエチルアルコールが脳に麻痺を生じさせ、集中力や判断力、抑止力を低下させます。
もう一つは、アルコールを分解する過程で発生する「アセトアルデヒド」という有害成分が血中に溜まると、心拍数が上昇したり、皮膚が紅潮したり、嘔吐を引き起こしたりします。二日酔いになるのは、アセトアルデヒドが原因です。
なるほど。お酒で酔う仕組みがわかりました。では、車酔いはどのようにして起こるんでしょうか?
車酔いの代表的な要因には、平衡感覚の乱れ、視界の変化や車内のニオイ、睡眠不足、不安感、肉体的な疲労などが挙げられます。それぞれに対策方法が異なるため、自分がどのケースに当てはまるのかを判断する必要があります。
いろいろな要因があるんですね。車酔いが起こる前兆ってあるんでしょうか?
まず初期症状として「頭痛」「生唾」「生あくび」などが現れます。それらが次第に悪化すると「動悸」や「息切れ」を感じるようになり、「顔面蒼白」「冷や汗」「手足の冷え」といった症状が出てきます。
そういえばあのとき、息切れしたし冷や汗もかいていました。
明らかに車酔いの症状ですね。そこからさらに状態が悪化すると、「嘔吐」を引き起こすこともあるので気を付けてくださいね。
車内で嘔吐してしまったら、せっかくのドライブが台無しになっちゃいますね。車酔いを防ぐにはどうすればいいんですか?
では、車酔いを適切に予防するために、症状が起きる原因を詳しく見てみましょう。
ぜひお願いします!
車酔いの原因
ただ車に乗っているだけなのに、どうして体調が悪くなるのでしょうか?車酔いにはさまざまな要因が絡んでいます。
三半規管の問題
人が歩いたり立ったりするためには、「平衡感覚」がきちんと働いている必要があります。人間の平衡感覚を調整する役割を担っている器官は、耳の中にある「三半規管(さんはんきかん)」や「耳石器(じせきき)」と呼ばれる部分です。三半規管の中にはリンパ液が流れており、垂直・水平・スピードなどの情報を正確に処理しています。
ところが、車に乗っていると不規則な揺れが起こり、「目で見ている情報」と「体が感じている情報」が一致しなくなります。情報のズレが「不快感」となって自律神経に伝わると、ストレスホルモンが分泌されて車酔いの症状を引き起こします。三半規管が弱い人や未発達の子供は、情報処理能力が弱いため車酔いしやすいでしょう。
視覚と嗅覚
たとえば、「窓から遠くの景色を眺めていると酔わないが、近くのものを見ていたら酔った」という経験はないでしょうか。理由は、近くの景色を見ていると、自分は座っているにもかかわらず、景色が目まぐるしく変わり、視界から入る情報と体の感覚にズレが生じるからです。情報のズレは脳を混乱させ、車酔いを引き起こします。一方、遠くの景色は動く方向を予測しやすく、視覚情報と体の感覚のズレが生じにくいため、車酔いになりづらいというわけです。また、車内のニオイなど、嗅覚の刺激も不安感や体調を悪化させる要因になります。
車酔いに対する不安
車酔いは精神的な要因にも影響されやすく、自律神経が乱れがちな人は特に車酔いするリスクが高いとされています。三半規管が発達していない子供の頃に車で何度も酔った経験があると「自分は車酔いしやすい」と思い込み、ほんの少しの揺れを感じただけでも気分が悪くなることがあります。
睡眠不足と疲労
睡眠不足や疲労している状態で車に乗ると、車酔いの症状が出やすくなります。体が疲れていると普段よりも血圧が下がり、自律神経が乱れやすくなることが原因です。
車酔いしやすい人がやっているNG行動
車酔いしやすい人がしがちなNG行動には、次のようなものがあります。普段は車酔いをしないという人も油断は禁物。特に車で遠出をするときには参考にしてください。
車酔いしやすい食べ物や飲み物を摂っている
ドライブ中に小腹が空いたら、ファストフードは避けましょう。揚げ物などに含まれる油分が胃腸に負担をかけてしまうからです。同じ理由から、生クリームを使用したケーキなども避けたほうが良いでしょう。
意外なことに、さっぱりしている柑橘系の食べ物も車酔いには良くありません。きつい香りや酸味の刺激で気持ち悪くなってしまうことがあります。ヨーグルトや牛乳も胃もたれの原因になる可能性があるため、なるべく控えましょう。
暇つぶしに手元をつい見てしまう
運転していないと、スマホや本を暇つぶしに見てしまいがちです。
しかし、平衡感覚を保とうとする三半規管は、文字や形などの静止している視覚情報と、実際の体の動きに関する情報が一致していないと混乱してしまうことがあります。車酔いを助長するおそれがあるため、手元を見る行動は控えましょう。
香水や芳香剤を使う
普段は気にならない、気分をリフレッシュしてくれるような香りも、車内という密室空間では嗅覚への刺激に変わります。香りの強い香水や芳香剤は車酔いの原因になるので注意しましょう。
車酔い対策決定版!-乗車前-
車酔いは乗車の前後に対策をしておくと、予防ができます。ここでは、乗車前にできる車酔い対策についてご紹介します。
体調管理
車を運転するときは体調を整えておきましょう。特に寝不足や疲れは車酔いの大敵。満腹時や空腹時も車酔いしやすくなるため、前日は早めに布団に入り、運転の時間に合わせて食事のタイミングを調整しておきましょう。
酔い止めの薬を飲んでおく
「今日は車酔いするかも」と思うときは、酔い止め薬が役立ちます。薬の効果とともに「飲んだから大丈夫」という安心感で精神的な不安感が軽減されるため、車酔いしにくくなります。
車酔いに効果的な食べ物と飲み物
車酔い防止に効果的な食べ物は、ショウガや梅干しなどです。いずれも吐き気を抑えるのに効果があるとされます。飲み物は、胃の不快感やむかつきなどを軽減するミントティーが良いとされます。
日頃からバランスのいい食事を摂取する
栄養バランスの乱れた食生活が、平衡感覚の乱れを生じさせることがあります。そのため、ビタミンやミネラルなどの栄養をバランスよく摂取し、睡眠をしっかり取るなど、規則正しい生活を心掛けましょう。特にビタミンB1やビタミンB6は、神経の機能を正常に保ち、平衡感覚を整える効果があります。乗車する前夜から当日の朝に摂取すると、車酔いの症状を和らげられる可能性があります。
心配な場合は医師に相談する
睡眠不足や体調不良により生じる車酔いは一時的なものであるため、必要以上に心配しなくても大丈夫です。しかし、車酔いの症状が頻繁に現れる場合は、耳や脳の疾患が起因している可能性があります。予防をしても効果がなく、時間をおいても症状が緩和されなければ、耳鼻科で診察を受けたほうが良いでしょう。処方された薬は、運転の前後に飲めるよう常備しておくことが大切です。
車酔い対策決定版!-乗車後-
続いて、乗車後にできる車酔い対策についてご紹介します。
姿勢に気を付ける
目に入ってくる情報と体の実際の動きのズレが車酔いを引き起こします。進行方向と反対を向いたり、流れる景色を見たりしていると、情報のズレが大きくなってしまうため、可能な限り進行方向や遠くの景色を見るようにしましょう。また、手元や足元を見続けるのも車酔いの原因となりますので注意してください。
適度に新鮮な空気に当たる
長時間車の窓を閉めたままにしておくと、空気がこもってしまい、気分が悪くなる原因になります。
途中で下車ができない場合は窓を開け、適度に新鮮な空気を入れて気分転換をしましょう。外の空気を吸うとリラックス効果が期待できるだけでなく、換気することで車内の嫌なニオイを緩和できます。
体にかかるストレスを少なくする
目から入る情報量を少なくするために黒いサングラスをかける、体を締め付けないように衣服やベルトを緩めるなど、乗車中はなるべくストレスがない状態で過ごしましょう。シートを倒してリラックスしたりすることも重要です。酔う前に辛いもので交感神経に刺激を加えるのも効果的とされています。
車酔いした場合の対処法
予防していたにもかかわらず、車酔いしてしまうことがあります。そんなときは次の行動を参考にし、落ち着いて対処しましょう。
車を止めて休憩する
長距離のドライブの場合は、車を止めて適度に休憩をはさむようにしましょう。駐車スペースを見つけて停車し、冷たい飲み物を飲んだり、睡眠不足の人は仮眠を取ったりして体調を整えてください。
また、長時間座席に座っていると、体が凝り固まって疲れが溜まってしまいます。もし途中で車から降りられる場合は、深呼吸してリラックスするようにしましょう。
一度嘔吐してすっきりする
車酔いが悪化して吐き気を催したときに、我慢してしまう人がいます。同乗者がいる場合はなおさら「迷惑はかけられない」と考えてしまうのも仕方がありません。
しかし、吐き気がしたら、無理せず一度吐いてしまったほうが、すっきりして楽になるものです。吐いた後は、うがいをしたり、口の中をゆすいだりすると、吐瀉物のニオイで再び吐き気を催すのを避けられます。
また、激しく吐いた場合は、脱水症状を起こす恐れがありますので、少量の水をこまめに摂取するようにしてください。ミネラルが入っているスポーツドリンクもおすすめです。
同乗者と話したりストレッチしたりする
車酔いの症状が軽い場合は、お気に入りの音楽を流したり、同乗者と会話を楽しんだりすると、気が紛れて症状が改善することがあります。
また、軽いストレッチも車酔いに効果的です。長時間同じ姿勢でいると、血の巡りが悪くなり、自律神経のコントロールが利かなくなる場合があります。信号待ちなどの停車時を使って、できる範囲で体をほぐしてあげましょう。
車体の中心に近いところに座る
車は構造上、座る位置によって振動の大小が異なります。車酔いは、運転中の体の揺れを抑えることで症状を軽くできるので、安定している席に座ると良いでしょう。車体の中心に近ければ近いほど、揺れが少なくなるため、車に酔いやすい人は前輪と後輪の真ん中付近に座るように心がけてください。
具体的には、二列シートなら助手席、ワゴン車などの三列シートであれば助手席か二列目が、比較的揺れを感じにくい席です。
自分で運転する
すでに免許を取得している人は、自分で車を運転するのが良いかもしれません。なぜなら、運転手は車酔いになりにくいからです。
自分が運転せずに車に乗る場合、揺れを予測できずに体が対応できないことから、車酔いの症状が引き起こされやすくなっています。一方、運転手は自分のタイミングで曲がったり、停車したりできるため、自分自身で揺れの予測をしやすく、車酔いになりにくいのです。
運転手を見ていると、カーブを曲がるときなどに視線を安定させようとして、無意識に頭を動かさないようにしていることがわかります。また、運転に集中しているので、車酔いに対する意識が向かず、精神的な不安が同乗者と比べて少ないことも要因の一つと考えられます。
この記事のまとめ
ポイントを押さえて、しっかりと車酔い対策を
移動中に車酔いをすると、休日を楽しめないまま終わってしまったり、周りに迷惑をかけたりすることになりかねません。事前の対策を心掛け、長距離移動の場合は定期的に車から降りてリフレッシュしましょう。
同乗者がいる場合は、ドライブ中の楽しい会話も忘れずに!必要以上に気にしすぎないことも、立派な車酔い対策です。
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